高校の就学支援金法の改正(いわゆる高校無償化) 保護者の収入による制限をなくし、支給の対象は日本国籍・特別永住者・永住者など 2026年4月1日施行
テーマ:国会・教育|出来事:2026年2月27日(法律案の提出)〜2026年3月13日(衆議院で可決)〜2026年3月31日(参議院で可決・成立・公布)〜2026年4月1日(施行)|最終更新:2026年10月31日

法律の中身は、衆議院のページに載っている法律案の本文の字です。国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。会派の賛否は、衆議院の議案のページと、参議院の本会議の投票結果のページの記録のとおりです。
要点
- 高校の就学支援金は、保護者などの収入で支給を止める仕組み(所得制限)をなくしました。衆議院の文部科学委員長は、この改正を「いわゆる高校無償化を実現するため」と報告しています。(資料01・資料05 #97)
- 支給を受ける人は、日本国籍を持つ人・特別永住者・永住者の在留資格で在留する人と、それに準ずる者として文部科学省令で定める人に限ると書き加えました。定住者・家族滞在の在留資格の生徒は、一定の要件で対象にすることを検討していると、文部科学省の局長が答えています。外国人学校は、法律上の支援の対象にしないと大臣が答えました。(資料01・資料07 #174・資料06 #13)
- 都道府県が支給する就学支援金の費用について、国の負担を「全額」から「四分の三」に改めました。法律の目的には「我が国社会を担う豊かな人間性を備えた人材を育成するため」の字が入りました。施行の後3年以内に、受給資格などを検討します。(資料01)
- 衆議院は2026年3月13日、参議院は3月31日に可決し、同じ日に法律第8号として公布、4月1日に施行されました。参議院は押しボタンの投票で賛成223・反対21でした。衆議院の反対会派の欄は参政党だけです。(資料02・03・資料04 #21)
根拠
法律の中身(法律案の本文)
| 改める所 | 中身 | 出典 |
|---|---|---|
| 第1条(目的) | 「我が国社会を担う豊かな人間性を備えた人材を育成するため、高等学校等における教育に係る経済的負担の一部を社会全体で負担し」を加え、「経済的な状況にかかわらず」高等学校等の教育の機会均等と、希望に応じた教育を受けられる環境の整備を図る、と改める | 資料01 |
| 第3条第1項(受給資格) | 日本国籍を有する者、特別永住者、永住者の在留資格をもって在留する者その他これに準ずる者として文部科学省令で定める者に限る | 資料01 |
| 第3条第2項第3号 | 削る。改正前のこの号は、保護者等の「収入の状況に照らして」経済的負担を軽減する必要があるとは認められない者(政令で定める者)には支給しない、という規定 | 資料01・09 |
| 第15条第1項(国の負担) | 都道府県知事が行う就学支援金の支給に要する費用について、国の負担を「全額」から「四分の三」に改める | 資料01 |
| 附則第1条 | 2026年4月1日から施行 | 資料01 |
| 附則第2条 | 2026年3月分以前と、施行前から在学している人(新しい第3条第1項に当たらない人)には、従前の例 | 資料01 |
| 附則第5条 | 施行後3年以内に、受給資格その他の支給の在り方などを検討する | 資料01 |
比べ方の注意
- 支給の額は、政令などで定めます
- 国の負担について、本文の字は「国は…四分の三…を負担する」です
- 改正前の第3条第2項第3号の字は、e-Gov の法令 API で2026年3月1日時点の版を取って確かめました(資料09)。収入の線そのものは政令で定める形でした
会派の賛否(記録にある粒度のまま)
衆議院 本会議 2026年3月13日(資料02)
| 欄 | 記録の字 |
|---|---|
| 会派態度 | 多数 |
| 賛成会派 | 自由民主党・無所属の会; 中道改革連合・無所属; 日本維新の会; 国民民主党・無所属クラブ; チームみらい; 日本共産党 |
| 反対会派 | 参政党 |
参議院 本会議 2026年3月31日(押しボタンの投票。投票総数244・賛成223・反対21)(資料03)
| 会派(人数) | 賛成 | 反対 |
|---|---|---|
| 自由民主党・無所属の会(101) | 100 | 0 |
| 立憲民主・無所属(40) | 40 | 0 |
| 国民民主党・新緑風会(25) | 25 | 0 |
| 公明党(21) | 21 | 0 |
| 日本維新の会(19) | 19 | 0 |
| 参政党(15) | 0 | 15 |
| 日本共産党(7) | 7 | 0 |
| れいわ新選組(5) | 0 | 4 |
| 日本保守党(2) | 0 | 2 |
| 沖縄の風(2) | 2 | 0 |
| チームみらい・無所属の会(2) | 2 | 0 |
| 社会民主党(2) | 2 | 0 |
| 各派に属しない議員(6) | 5 | 0 |
賛成と反対の合計が会派の人数より少ないのは、投票しなかった議員の分です。賛成の合計223・反対の合計21は、議長の報告(資料04 #21)と一致します(このページの足し算)。参議院の文教科学委員会では、日本共産党が修正案を出し、否決されました(資料04 #18)。国籍・在留資格による支給対象の見直しの規定を削る案です。
資料
資料の一覧(9件)
| 番号 | 資料 | 種類 | 確かめた日 |
|---|---|---|---|
| 01 | 衆議院「閣法 第221回国会 8 高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案」提出時法律案 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g22109008.htm | 公式資料 | 2026-10-25(本則・附則を読んだ) |
| 02 | 衆議院 同法律案の議案審議経過情報 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DE151A.htm | 公式資料 | 2026-10-25(受理 2月27日・付託 3月5日 文部科学委員会・審査終了 3月13日 可決・本会議 3月13日 可決・参議院 3月31日 可決・公布 3月31日 法律第8号) |
| 03 | 参議院 同法律案の審議経過と本会議の投票結果 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221080221008.htm https://www.sangiin.go.jp/japanese/touhyoulist/221/221-0331-v006.htm | 公式資料 | 2026-10-25(付託 3月23日 文教科学委員会・会派ごとの票の数) |
| 04 | 国会会議録 参議院 本会議 2026年3月31日 #18(文教科学委員長の報告)・#21(投票の結果) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115254X00720260331/18 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 05 | 国会会議録 衆議院 本会議 2026年3月13日 #97(文部科学委員長の報告) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105254X00620260313/97 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 06 | 国会会議録 衆議院 文部科学委員会 2026年3月10日 #6・#7・#12・#13(深澤陽一議員と松本文部科学大臣) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105124X00420260310/13 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 07 | 国会会議録 参議院 文教科学委員会 2026年3月26日 #173・#174(吉良よし子議員と文部科学省 初等中等教育局長) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115104X00220260326/174 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 08 | 国会会議録 参議院 文教科学委員会 2026年3月31日 #7(後藤翔太議員の討論) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115104X00320260331/7 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 09 | 高等学校等就学支援金の支給に関する法律 第3条(e-Gov 法令 API。2026年3月1日時点の版=2025年6月1日施行の版) https://laws.e-gov.go.jp/law/422AC0000000018 | 法令 | 2026-10-25 |
国会のやりとり
字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。
2026年3月10日 衆議院 文部科学委員会(資料06)
松本洋平 文部科学大臣 #7
[中略]今般の就学支援金制度の見直しは、こうした高校教育を取り巻く背景を踏まえまして、また、これまでの三党間での協議や累次にわたる合意に基づき、将来の我が国社会を担う人材を育成するため、高校教育に係る費用の中核である授業料を社会全体で負担する考え方をより進めるものであります。[中略]
深澤陽一 議員(自由民主党・無所属の会)#12
[中略]就学支援金の支給対象者につきましては、日本国籍を有する者、特別永住者又は永住者の在留資格をもって在留する者その他これに準ずる者として文科省令で定める者とされておりますが、今回の法律の第一の「目的」の冒頭に、「我が国社会を担う豊かな人間性を備えた人材を育成するため、」と書かれているのであれば、少なくとも、我が国の学習指導要領に基づいて教育を受けているであるとか日本語を学んでいることなどを条件とすることも考えられるのではないかと思います。[中略]
松本洋平 文部科学大臣 #13
[中略]支給対象機関につきましても、こうした目的、趣旨に沿う教育機関を対象とする観点から見直しをいたしまして、いわゆる外国人学校については、法律上の支援の対象とはしないことといたしております。
他方、これまで支援の対象としてきた外国人学校に通う生徒につきましては[中略]在校生については、在学中は従前の支援対象とする経過措置を法令上講じるとともに、新入生につきましては、予算事業により、これまでと同等の支援が受けられるように措置することとしているところであります。[中略]
2026年3月26日 参議院 文教科学委員会(資料07)
吉良よし子 議員(日本共産党)#173
[中略]本改正案について、高校就学支援金の所得制限が撤廃され、私学に通う高校生への授業料支援の額も引き上げられることになるわけです。これは、高校生の経済的負担の軽減、学ぶ権利の実現につながることから賛同できるものです。[中略]
対象外とされているのは、留学生や外国人学校の生徒だけではなく、日本の学校に在学している生徒であっても在留資格によって線引きをするという中身になっていて[中略]この定住者と家族滞在の在留資格を持っていて日本の学校に通学している生徒について、支給対象となるのはどういう要件が必要になるのか、御説明をお願いします、局長。
望月禎 文部科学省初等中等教育局長 #174
定住者の在留資格で在留する外国籍生徒のうち、将来永住する意思があると認められた者につきましては、法律上の支援の対象とすることを検討してございます。
また、家族滞在につきましては、家族滞在の在留資格で在留する外国籍生徒のうち、我が国の小学校と中学校の両方を卒業した者であって、新制度の対象となる高等学校等の卒業後、就労して引き続き我が国に定着する意思があると認められる者につきまして、法律上の支援の対象とすることを検討しているところでございます。
2026年3月31日 参議院 文教科学委員会(討論)(資料08)
後藤翔太 議員(参政党)反対の討論 #7
[中略]全国一律の政策は、地域市場である高校市場の構造変化をもたらし、都道府県間、そして都道府県内においても格差を拡大する可能性があることを御指摘いたしました。[中略]
ですが、やはり、この法案を多角的な視点から徹底的な分析がなされていない状態で成立させることは、余りにも無責任であると言わざるを得ません。[中略]
会派の名前は、会議録の会派の欄のとおりです。
経過
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2026年2月27日 | 内閣が衆議院に提出(受理) | 資料02 |
| 2026年3月5日 | 衆議院 文部科学委員会に付託 | 資料02・資料05 #97 |
| 2026年3月9日・10日 | 衆議院 文部科学委員会で趣旨説明(9日)・質疑(10日) | 資料05 #97・資料06 |
| 2026年3月13日 | 衆議院 文部科学委員会で可決(附帯決議あり)、本会議で可決 | 資料02・05 |
| 2026年3月23日 | 参議院 文教科学委員会に付託 | 資料03 |
| 2026年3月31日 | 参議院 文教科学委員会で共産の修正案を否決、原案を可決(附帯決議あり)。本会議で可決(賛成223・反対21)。成立し、同じ日に公布(法律第8号) | 資料02・03・04・08 |
| 2026年4月1日 | 施行 | 資料01 |
訂正の記録
なし
確かめた所と読むときの注意
確かめた所
- 法律の中身(目的・受給資格・国の負担・施行の日・経過措置・検討)は、衆議院のページの法律案の本文(資料01)を読んで確かめました(2026年10月25日)
- 削られた第3条第2項第3号の改正前の字は、e-Gov の法令 API で確かめました(資料09)
- 提出・付託・可決・公布の日と、衆議院の会派の欄は、衆議院の議案のページ(資料02)で確かめました
- 参議院の会派ごとの票は、参議院の投票結果のページ(資料03)で確かめ、議長の報告の数(資料04 #21)と合うことを足し算で確かめました
- 国会の字は、すべて国会会議録検索システムの API で取った本文と照らしました
読むときの注意
- 「その他これに準ずる者」と、定住者・家族滞在の扱いについて、局長の答弁は「検討してございます」です
