重要土地調査法の改正案 特に重要な防衛関係の施設などの周りと無人の国境離島を「規制区域」に 区域内の土地の所有権の移転は総理大臣の許可制
テーマ:国会・安全保障|出来事:2026年10月5日(所信表明演説)〜2026年10月23日(法律案の提出)〜審議中|最終更新:2026年10月31日
法律案の中身は、内閣府のページに載っている要綱と概要の字です。首相の演説は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。2026年10月25日の時点で、この法律案を審議した会議の会議録はありません。
要点
- 内閣は2026年10月23日、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(重要土地等調査法)の改正案を国会に出しました。いまの法律は、防衛関係の施設などの周りを「注視区域」「特別注視区域」に指定し、利用を調べ、施設の機能を妨げる行為を規制する仕組みです。改正案は、特別注視区域の中から「規制区域」を指定できるようにし、取得の段階での規制を加えます。(資料01・02・03)
- 規制区域の土地等の所有権を移すには、総理大臣の許可が要ります。許可を受けない移転は効力を生じません。外国の政府等、外国の軍隊等の活動に現に従事する者、外国の法令などで軍隊や政府の活動に協力する義務を負う者、これらが議決権や役員の2分の1以上を占める法人などには、原則として許可をしないと書いています。合併などで取得した場合や、支配関係が変わって当たるようになった場合は届出が要り、総理大臣は1年以内の譲渡を命じることができます。(資料02)
- 規制区域にできるのは、2つの場合です。①ドローンなど事前に見つけるのが特に難しい方法で施設を壊されると機能が著しく妨げられ、回復が難しい防衛関係施設・海上保安庁の施設の周り(概要は「周囲おおむね1,000m」と説明)、②住んでいる人のいない国境離島。あわせて、注視区域の対象となる重要施設に、皇居・国会議事堂・総理大臣官邸・危機管理行政機関の庁舎を加えます。(資料02・03)
- 高市首相は10月5日の所信表明演説で、この規制に触れていました。「防衛関係施設周辺等の区域や国境離島の区域における、土地の所有権の移転等に係る規制を創設する」。(資料04)
根拠
いまの仕組みと、改正案で加わる仕組み
| 項目 | いま(概要の「現行制度」) | 改正案で加わる物 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 区域 | 注視区域・特別注視区域 | 特別注視区域の中から「規制区域」を指定 | 資料02 第14条関係・資料03 |
| 取得のとき | 特別注視区域の土地等(200㎡以上)の取得は事前の届出 | 規制区域の土地等の所有権の移転は総理大臣の事前の許可(面積の要件なし) | 資料02 第15条関係・資料03 |
| 許可がないとき | ― | 所有権の移転は効力を生じない(概要は「不動産登記を受け付けない」とも説明) | 資料02 第15条第2項関係・資料03 |
| 合併・支配関係の変化 | ― | 届出。当たる法人等には1年以内の譲渡を命じられる(概要は、譲渡されなければ国が競売を申し立てると説明) | 資料02 第18条・第19条関係・資料03 |
| 賃貸借など | ― | 使用収益権の設定・移転は事後の届出 | 資料02 第20条関係 |
| 機能を妨げる行為 | 審議会の意見を聞いたうえで勧告、従わなければ命令 | 規制区域では、緊急の必要があるとき勧告を経ずに命令 | 資料02 第21条関係・資料03 |
| 立入り | ― | 内閣府の職員による立入調査。警察庁長官は総理大臣に意見を述べられ、都道府県警察に調査を指示できる | 資料02 第22条・第23条関係 |
| 重要施設 | 防衛関係施設・海上保安庁の施設など | 皇居・国会議事堂・内閣総理大臣官邸・危機管理行政機関の庁舎を追加 | 資料02 第2条関係 |
| 施行 | ― | 一部を除き、公布から1年6か月を超えない範囲で政令で定める日 | 資料02 附則第1条関係 |
比べ方の注意
- 「おおむね1,000m」は内閣府の概要の説明の字です。要綱(資料02)は、規制区域を特別注視区域の中から指定すると書き、距離の数は書いていません
- 許可をしない相手のうち、法人については、要綱は「議決権の数がその総数の二分の一以上を占め、又はこれらの者が役員の二分の一以上を占めるもの」と書いています。概要は「実質的支配者(BO)を含む」と書いています。実質的支配者の情報は、同じ日に出た別の法律案(法人等の実質的支配者に係る情報の把握等に関する法律案)と結びつけてあります
資料
| 番号 | 資料 | 種類 | 確かめた日 |
|---|---|---|---|
| 01 | 参議院 議案のページ「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律の一部を改正する法律案」(第222回・閣法18) https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/222/meisai/m222080222018.htm | 公式資料 | 2026-10-25(提出日 2026年10月23日・衆先議。衆参の付託・議決の欄は空) |
| 02 | 内閣府 同法律案「要綱」(PDF 4ページ) https://www.cao.go.jp/houan/pdf/222/222_1youkou.pdf | 公式資料 | 2026-10-25 |
| 03 | 内閣府 同法律案「概要」(PDF 1ページ) https://www.cao.go.jp/houan/pdf/222/222_1gaiyou.pdf 一覧のページ https://www.cao.go.jp/houan/222/index.html | 公式資料 | 2026-10-25 |
| 04 | 国会会議録 衆議院 本会議 2026年10月5日 #23(高市内閣総理大臣の所信表明演説) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122205254X00120261005/23 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 05 | 国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/ | 会議録 | 2026-10-25 18時台に、会議の一覧の API で第222回国会を検索。28件。この法律案を審議した会議録は0件 |
国会のやりとり
字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。
2026年10月5日 衆議院 本会議(所信表明演説)(資料04)
高市早苗 内閣総理大臣 #23
[中略]安全保障の観点から、防衛関係施設周辺等の区域や国境離島の区域における、土地の所有権の移転等に係る規制を創設するほか、マネーロンダリングや経済安全保障への対応として、法人の実質的支配者情報の登録制度の導入を図ります。[中略]
法律案そのものを審議した会議の会議録は、2026年10月25日の時点でありません(資料05)。
経過
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2026年10月5日 | 高市首相が所信表明演説で、規制を創設すると述べた | 資料04 |
| 2026年10月23日 | 内閣が法律案を国会に提出 | 資料01・03 |
| 2026年10月25日現在 | 衆参の付託・議決の欄は空 | 資料01 |
| この後 | 付託・審議・採決と会派の賛否は、衆参の記録に載ったらここに足します | 資料01 |
訂正の記録
なし
確かめた所と読むときの注意
確かめた所
- 規制区域・許可制・届出・命令・立入調査・重要施設の追加・施行の日は、内閣府の要綱(資料02)で読みました(2026年10月25日)
- 「おおむね1,000m」「200㎡以上」「面積要件なし」「競売」は、内閣府の概要(資料03)の字で確かめました
- 首相の演説の字は、国会会議録検索システムの API で取った本文と照らしました
読むときの注意
- 条の番号は、要綱の「〇条関係」の字によります
- どの施設・どの島が規制区域になるかは、法律ができた後に総理大臣が指定します
- 国会の審議が会議録に載ったら、質疑の字で足します
