衆議院の再可決は「出席議員の三分の二」 2008年4月30日、議長は投票総数348から「三分の二は二百三十二」と告げた

テーマ:国会・しくみ|出来事:2008年1月11日〜2013年6月24日(衆議院の再可決)|最終更新:2026年10月31日

国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。憲法の字は、e-Gov の法令 API で取った条文です。割り算は、このページで計算しました。

要点

  1. 再可決には段があります。憲法59条2項は、衆議院で可決し、参議院で「これと異なつた議決をした法律案」を、衆議院が「出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したとき」に法律になると定めています。参議院が60日以内に議決しないときは、59条4項により、衆議院は参議院が否決したものと「みなすことができる」とされています。60日たてば自動で否決になるのではなく、衆議院がそう決めます。(資料01)
  2. 「三分の二」は、その日に投票した人の数から出していました。2008年4月30日の衆議院本会議で、議長は「投票総数三百四十八。本投票の三分の二は二百三十二であります」と告げました。同じ日の次の採決では、投票総数349で「三分の二は二百三十三」でした。同じ日でも、投票した人の数が1人違えば、三分の二の数も変わっています。(資料03)
  3. 60日のみなし否決から再可決までの流れは、2008年4月30日と2013年6月24日の会議録に残っています。どちらの日も、①「六十日を経過した」として「否決したものとみなすべしとの動議」を起立で可決 ②参議院から法律案の返付を受ける ③記名投票で再可決、の順でした。2013年6月24日は、投票総数475・三分の二は317・可とする者384でした。(資料03・04)
  4. 2007年以降の会議録で、衆議院で再可決の動議が出た日は8日です。2008年に4日、2009年に3日、2013年に1日。2013年6月24日のあとは、2026年10月25日に会議録で探した範囲では見つかりませんでした。(資料05)

根拠

議長が告げた数と、このページの検算

日付何の再可決か投票総数議長の「三分の二」検算(投票総数×2÷3)可とする者否とする者出典
2008年1月11日テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案(参議院が否決)473316315.33… → 316340133資料02 #16
2008年4月30日地方税法等の一部を改正する法律案など3案(60日のみなし否決)34823223233612資料03 #30
2008年4月30日平成20年度における公債の発行の特例に関する法律案・所得税法等の一部を改正する法律案(60日のみなし否決)349233232.66… → 23333712資料03 #41
2013年6月24日衆議院小選挙区の人口較差を緊急に是正するための公職選挙法等の改正の改正案(60日のみなし否決)475317316.66… → 31738491資料04 #28

出典:投票総数・三分の二・可否の数は会議録の議長の言葉と事務総長の報告(資料02〜04)。検算の列は、このページの計算です。割り切れないときは、三分の二「以上」になるよう切り上げた数が、議長の数と一致しました。

「三分の二」が出てくる憲法の条文(資料01)

条何に何の三分の二
59条2項法律案の再可決(衆議院)出席議員
96条1項憲法改正の発議各議院の総議員

59条2項と96条1項は、数える人が違います。再可決は出席議員、改正の発議は総議員です。

60日の数え方(このページの計算)

資料

番号資料種類確かめた日
01日本国憲法 第59条・第96条(e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/321CONSTITUTION
法令2026-10-25(法令 API で条文を取得)
02国会会議録 衆議院 本会議 2008年1月11日 #2・#14・#16・#17
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/116805254X01920080111/16
会議録2026-10-25
03国会会議録 衆議院 本会議 2008年4月30日 #9・#15〜#17・#20・#28・#30・#31・#39・#41・#42
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/116905254X02620080430/30
会議録2026-10-25
04国会会議録 衆議院 本会議 2013年6月24日 #1〜#3・#6・#26・#28・#29
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/118305254X03520130624/28
会議録2026-10-25
05国会会議録検索システム
https://kokkai.ndl.go.jp/
会議録2026-10-25 に、発言の API で、院「衆議院」・語「再議決すべしとの動議」・期間 2007-01-01〜2026-10-25 を指定して検索。81件で、日付は 2008-01-11・04-30・05-13・12-12、2009-03-04・03-27・06-19、2013-06-24 の8日。第222回国会の衆議院本会議は、この日の会議の一覧の API で10月5日の1件だけが載っていた

国会のやりとり

字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。

2008年1月11日 衆議院 本会議(資料02)

河野洋平 議長 #2

本日、参議院から、本院送付のテロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案は否決した旨の通知を受領するとともに、返付を受けました。

河野洋平 議長 #16

投票総数四百七十三。
本投票の三分の二は三百十六であります。[中略]
可とする者(白票) 三百四十
否とする者(青票) 百三十三

河野洋平 議長 #17

右の結果、本案は、出席議員の三分の二以上の多数をもって、さきの議決のとおり再び可決いたしました。[中略]

2008年4月30日 衆議院 本会議(資料03)

河野洋平 議長 #9(議事日程の動議の題)

[中略]内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案、地方法人特別税等に関する暫定措置法案、地方交付税法等の一部を改正する法律案は、いずれも、二月二十九日に参議院に送付の後、六十日を経過したが同院はいまだ議決に至らず、よって、本院においては、憲法第五十九条第四項により、参議院がこれを否決したものとみなすべしとの動議[中略]

河野洋平 議長 #16

起立多数。よって、地方税法等の一部を改正する法律案、地方法人特別税等に関する暫定措置法案、地方交付税法等の一部を改正する法律案はいずれも参議院が否決したものとみなすことに決まりました。[中略]

河野洋平 議長 #20

先ほど、参議院から、国会法第八十三条の三第三項により、本院送付の地方税法等の一部を改正する法律案、地方法人特別税等に関する暫定措置法案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、平成二十年度における公債の発行の特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の返付を受けました。[中略]

河野洋平 議長 #30

投票総数三百四十八。
本投票の三分の二は二百三十二であります。[中略]
可とする者(白票) 三百三十六
否とする者(青票) 十二

河野洋平 議長 #41

投票総数三百四十九。
本投票の三分の二は二百三十三であります。[中略]
可とする者(白票) 三百三十七
否とする者(青票) 十二

2013年6月24日 衆議院 本会議(資料04)

伊吹文明 議長 #3

起立多数。よって、衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案は参議院が否決したものとみなすことに決まりました。

伊吹文明 議長 #28

それでは、投票総数は四百七十五です。本投票の三分の二は三百十七であります。[中略]
可とする者(白票) 三百八十四
否とする者(青票) 九十一

伊吹文明 議長 #29

右の結果、本案は、憲法第五十九条第二項に基づき、出席議員の三分の二以上の多数をもって、さきの本院の議決のとおり再び可決をいたしました。

憲法の条文(資料01)

第五十九条② 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
第五十九条④ 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
第九十六条① この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。[中略]

経過

日付出来事出典
2008年1月11日参議院が否決した補給支援特措法案を、衆議院が再可決(投票総数473・三分の二は316)資料02
2008年4月30日60日のみなし否決を起立で決め、返付を受けて、地方税法等の改正案など5案を2回の採決で再可決(三分の二は232と233)資料03
2008年5月13日・12月12日、2009年3月4日・3月27日・6月19日衆議院で再可決の動議(会議録の検索で日付を確かめた)資料05
2013年6月24日60日のみなし否決を起立で決め、返付を受けて、小選挙区の較差是正の改正案を再可決(投票総数475・三分の二は317)資料04
2013年6月25日〜2026年10月25日会議録の検索では、衆議院で再可決の動議は見つからない(第222回国会の本会議は10月5日の分まで載っている)資料05

訂正の記録

なし

確かめた所と読むときの注意

確かめた所

読むときの注意

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