入管法の改正 査証のいらない短期滞在の外国人に事前の認証を求める 在留資格の変更・更新の手数料の上限は1万円から10万円、永住許可は30万円に

テーマ:国会・外国人政策|出来事:2026年3月10日(法律案の提出)〜2026年4月28日(衆議院で可決)〜2026年5月29日(参議院で可決・成立)〜2026年6月5日(公布)|最終更新:2026年10月31日

在留手数料の上限を引き上げ 永住許可は上限30万円に|10万円 変更・更新の手数料の上限(改正前は1万円)

法律の中身は、衆議院のページに載っている法律案の本文と、e-Gov の法令の字です。国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。会派の賛否は、衆議院の議案のページと、参議院の本会議の投票結果のページの記録のとおりです。

要点

  1. 査証(ビザ)のいらない外国人が観光などの短期滞在で来るときは、出入国在留管理庁長官の「認証」を受けたことが上陸の条件になります。旅券や活動の中身などの情報を、電磁的方式で前もって出す仕組みです。委員長の報告は「電子渡航認証制度」と呼んでいます。航空会社などは、長官から「相当でない」と通知された予約者を乗せて日本に入ってはならない、とも書いています。(資料01・資料05 #22)
  2. 在留資格の変更と在留期間の更新の手数料の上限を10万円、永住許可を30万円にしました。改正の前は、どれも「一万円を超えない範囲内」でした。実際の額は政令で決めます。経済的困難などの理由があるときは、法務大臣が減額・免除できる規定も入りました。(資料01・資料09)
  3. 政府は、上限を決める参考に検討した額を答えています。変更・更新は在留期間3か月以下で1万円程度、1年で3万円程度、3年で6万円程度、5年で7万円程度です。永住許可は20万円程度です。(資料07 #12・資料10 #19)
  4. 衆議院は2026年4月28日に起立多数、参議院は5月29日に押しボタンの投票で賛成186・反対58で可決し、成立しました。衆議院の反対会派の欄は、中道改革連合・無所属と日本共産党です。参議院では、立憲民主・無所属と日本共産党が反対の討論をしました。(資料02・03・資料08 #48・#51)

根拠

法律の中身(法律案の本文)

条(改正後の入管法など)中身出典
第7条の2(新設)長官は、査証免除対象者で短期滞在の活動をしようとする者から、法務省令で定める情報が電磁的方式で出されたとき、条件(有効な旅券・活動が虚偽でない・在留期間の範囲内・上陸拒否の事由に当たらない)に合う旨の認証ができる資料01
第7条第1項第5号(新設)査証免除対象者で短期滞在の活動をしようとする者は、第7条の2の認証を受けたことが上陸のための条件(国の行政機関の長が招へいする者などを除く)資料01
第3条第1項第4号・第4条上陸しようとする者で、査証・認証などのどれもない者は、本邦に入ってはならない。乗り継ぎで日本を通るだけの者の一部にも認証を求める資料01
第15条の2(新設)寄港地上陸・船舶観光上陸・通過上陸の許可を受けて上陸しようとする者も、認証を受ける資料01
第56条の2(新設)日本に入る船・航空機の運送業者は、予約者の情報を報告する。長官が「本邦に入らせることが相当でない」と通知した者は、乗せて本邦に入らせてはならない資料01
第67条手数料の上限:在留資格の変更の許可 10万円/在留期間の更新の許可 10万円/永住許可 30万円/再入国の許可 1万円。額は政令で定め、実費のほか、外国人の出入国と在留の公正な管理に要する費用、諸外国の同種の手数料の額を勘案する。経済的困難その他特別の理由があるときは、法務大臣は減額・免除できる資料01・09
第67条の3(新設)認証を受けようとする外国人は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納める資料01
附則第1条2029年3月31日までの政令で定める日から施行。手数料(第67条)の改正は2027年3月31日までの政令で定める日から資料01
附則第3条公正な管理を害するおそれが少ないとして法務省令で定める外国人には、施行から6か月は認証の条件を当てない資料01

法律案の理由の欄には、目的が2つ書いてあります。1つは「厳格な出入国管理を実現し、併せて上陸審査の手続の一層の円滑化を図るため」です。もう1つは「外国人の出入国及び在留の公正な管理に関する施策を推進するため」です(資料01)。

手数料の上限の検算(e-Gov の法令)

許可改正の前の上限(第67条)改正の後の上限(第67条)
在留資格の変更1万円10万円
在留期間の更新1万円10万円
永住許可1万円30万円
再入国(有効期間の延長を含む)1万円1万円

出典:改正の前は、e-Gov の入管法の2026年6月14日施行の版の第67条です。字は「一万円を超えない範囲内において別に政令で定める額」。改正の後は、e-Gov の2026年10月1日施行の版の第67条(資料09)。e-Gov は、この版の改正の法律を「令和八年法律第三十二号」としています。

このページの計算

比べ方の注意

政府が答えた数字

数字中身出典
1万円程度/3万円程度/6万円程度/7万円程度変更・更新の手数料の、上限を決める参考として検討した額(許可される在留期間が3か月以下/1年/3年/5年)資料07 #12
20万円程度永住許可の手数料の、同じ参考の額資料07 #12・資料10 #19
2万円程度永住許可の審査に要する実費の試算資料11 #157
年間2万円程度外国人1人当たりの、出入国と在留の公正な管理に要する費用の試算資料11 #157
約630億〜860億円程度変更・更新の手数料の増収の見込み(2024年の許可の件数に当時の額を掛けた額と、2027年度の試算の歳入を比べたもの)資料07 #12
57億円程度永住許可の手数料の、同じ方法の増収の見込み資料07 #12
約3,846万人2025年の短期滞在の在留資格の新規入国者数資料04 #181
約413万人2025年末の在留外国人数資料04 #181

永住許可の上限を30万円にした理由も、次長は答えています。参考の額の20万円程度と「今後の物価上昇等」を合わせて考えた、という答えです(資料11 #157)。

会派の賛否(記録にある粒度のまま)

衆議院 本会議 2026年4月28日(起立による採決・起立多数)(資料02・資料06 #23・#24)

賛成会派(記録の字)反対会派(記録の字)
自由民主党・無所属の会; 日本維新の会; 国民民主党・無所属クラブ; 参政党; チームみらい中道改革連合・無所属; 日本共産党

参議院 本会議 2026年5月29日(押しボタンの投票。投票総数244・賛成186・反対58)(資料03)

会派(人数)賛成反対
自由民主党・無所属の会(101)990
立憲民主・無所属(40)040
国民民主党・新緑風会(25)250
公明党(21)210
日本維新の会(19)190
参政党(15)150
日本共産党(7)07
れいわ新選組(5)05
日本保守党(2)20
沖縄の風(2)02
チームみらい・無所属の会(2)20
社会民主党(2)02
各派に属しない議員(6)32

賛成と反対の合計が会派の人数より少ないのは、投票しなかった議員の分です。賛成の合計186・反対の合計58は、議長の報告(資料08 #51)と一致します(このページの足し算)。

参議院の法務委員会では、公明党が修正案を出し、否決されました。減額・免除を「できる」から「する」に改める案です(資料08 #48)。

資料

資料の一覧(11件)
番号資料種類確かめた日
01衆議院「閣法 第221回国会 20 出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律案」提出時法律案
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g22109020.htm
公式資料2026-10-25(第3条〜第15条の2・第56条の2・第67条・第67条の3・附則・理由を読んだ)
02衆議院 同法律案の議案審議経過情報
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DE1F16.htm
公式資料2026-10-25(受理 3月10日・付託 4月14日 法務委員会・審査終了 4月24日 可決・本会議 4月28日 可決・参議院 5月29日 可決・公布 6月5日 法律第32号)
03参議院 同法律案の審議経過と本会議の投票結果
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221080221020.htm
https://www.sangiin.go.jp/japanese/touhyoulist/221/221-0529-v007.htm
公式資料2026-10-25
04国会会議録 衆議院 法務委員会 2026年4月15日 #181(平口法務大臣の趣旨説明)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105206X00420260415/181
会議録2026-10-25
05国会会議録 衆議院 本会議 2026年4月28日 #22(法務委員長の報告)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105254X01620260428/22
会議録2026-10-25
06国会会議録 衆議院 本会議 2026年4月28日 #23・#24(採決)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105254X01620260428/24
会議録2026-10-25
07国会会議録 参議院 法務委員会 2026年5月19日 #11・#12(山谷えり子議員と出入国在留管理庁次長)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115206X00920260519/12
会議録2026-10-25
08国会会議録 参議院 本会議 2026年5月29日 #48(法務委員長の報告)・#51(投票の結果)/参議院 法務委員会 2026年5月28日 #184(修正案)・#186・#187(反対の討論)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115254X01720260529/48
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115206X01120260528/186
会議録2026-10-25
09出入国管理及び難民認定法 第67条(e-Gov の法令 API。2026年10月1日施行の版と、2026年6月14日施行の版)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319
法令2026-10-25(法令 API で第67条を取得。2026年10月1日施行の版の改正の法律は令和八年法律第三十二号)
10国会会議録 衆議院 法務委員会 2026年4月17日 #12(國重徹議員)・#19(出入国在留管理庁次長)・#54(山本大地議員)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105206X00520260417/19
会議録2026-10-25
11国会会議録 衆議院 法務委員会 2026年4月24日 #30・#31(有田芳生議員と次長)・#156・#157(和田政宗議員と次長)・#192〜#197(採決と附帯決議)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105206X00720260424/157
会議録2026-10-25

国会のやりとり

字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。

2026年4月15日 衆議院 法務委員会(趣旨説明)(資料04)

平口洋 法務大臣 #181

短期滞在の在留資格に係る新規入国者数は、令和七年に約三千八百四十六万人と過去最高を更新し、更なる増加が見込まれます。このような中、不法残留等を企図する者の入国を防止することにより厳格な出入国管理を実現するとともに、上陸審査の手続の一層の円滑化を図ることが必要です。
また、在留外国人数も、令和七年末時点で約四百十三万人と過去最高となっており、更なる増加が見込まれます。そこで、外国人の出入国及び在留の公正な管理に関する施策を確実に実施しつつ、更なる強化拡充を図るため、これに必要な費用について、在留外国人にも相応の負担を求める必要があります。[中略]

2026年4月24日 衆議院 法務委員会(資料11)

和田政宗 議員(参政党)#156

[中略]永住許可の手数料は上限三十万円とすることが法改正に盛り込まれています。この金額とした理由について聞きます。

内藤惣一郎 出入国在留管理庁次長 #157

[中略]審査に要する実費については、永住許可について二万円程度と試算し、また、外国人の出入国及び在留の公正な管理に要する費用の額については、外国人一人当たり年間二万円程度と試算しているところでございます。そして、これらの試算を踏まえつつ、諸外国の同種の手数料の額等を勘案し、[中略]永住許可については二十万円程度と見込んでいることから、この額と今後の物価上昇等を総合的に勘案して、改正法案における永住許可に係る手数料の額の上限額を三十万円と定めたところでございます。

2026年5月19日 参議院 法務委員会(資料07)

内藤惣一郎 出入国在留管理庁次長 #12

[中略]在留資格の変更の許可及び在留期間の更新の許可につきましては、許可される在留期間が三月以下の場合は一万円程度、許可される在留期間が一年の場合は三万円程度、許可される在留期間が三年の場合は六万円程度、許可される在留期間が五年の場合は七万円程度と試算しておりまして、永住許可については二十万円程度と試算しているところでございます。

2026年5月28日 参議院 法務委員会(反対の討論)(資料08)

打越さく良 議員(立憲民主・無所属)#186

[中略]JESTAについても問題があります。とりわけ、庇護を求める人々の入国を事前に拒む仕組みとして機能するおそれがあり、難民条約批准国としての責任を果たせなくなる懸念は重大です。[中略]

仁比聡平 議員(日本共産党)#187

[中略]法案が在留資格の変更、更新、永住資格の取得など在留資格に係る手数料の上限をそれぞれ十万円、三十万円へと、これまでの十倍、三十倍に引き上げ、在留外国人にとって我が国で生きる根底的基盤である在留資格を脅かすことは断じて許されないからです。[中略]

衆議院の法務委員会では討論の申出が無く、採決しました(資料11 #192)。

会派の名前は、会議録の会派の欄のとおりです。

経過

日付出来事出典
2026年3月10日内閣が衆議院に提出(受理)資料02
2026年4月14日衆議院 法務委員会に付託資料02・05
2026年4月15日衆議院 法務委員会で大臣の趣旨説明資料04
2026年4月17日・21日・24日衆議院 法務委員会で質疑(21日は参考人)資料05
2026年4月24日衆議院 法務委員会で可決(起立多数・附帯決議あり)資料11
2026年4月28日衆議院 本会議で可決(起立多数)資料06
2026年5月15日参議院 本会議で趣旨説明と質疑。法務委員会に付託資料03
2026年5月28日参議院 法務委員会で、公明党の修正案を否決、原案を可決(多数・附帯決議あり)資料08 #48
2026年5月29日参議院 本会議で可決(賛成186・反対58)。成立資料03・08
2026年6月5日公布(法律第32号)資料02
2026年10月1日e-Gov の法令に、改正後の第67条(手数料)を施行した版が載っている資料09
この後認証の制度などの本体は、2029年3月31日までの政令で定める日から資料01

訂正の記録

なし

確かめた所と読むときの注意

確かめた所

読むときの注意

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