NHK、委託の戸別訪問を一部で再開 2年半前の国会では、多くの経費をかける委託は「社会的に納得を得ることが難しい」

テーマ:NHK・放送|出来事:2026年10月2日(NHK営業局の発表)|最終更新:2026年10月31日

国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。NHK の数字は、NHK の答弁と公式の資料に書かれたとおりです。比べた年や数え方は、答弁に書かれた範囲で示しました。

要点

  1. NHK は2026年9月から、外部の会社に委託した訪問による契約・収納を、5都府県の一部で試行しています。9月は大阪府・兵庫県の一部(2社)、10月は愛知県・東京都・埼玉県の一部(3社)です。NHK はこれを、契約と支払いにつなげる取り組みの一つとしています。(資料01)
  2. 2024年3月の国会で、NHK の専務理事はこう答えていました。「以前のように外部の法人に訪問営業を委託して多くの経費をかけるということは、社会的に納得を得ることが難しいと考えております」。この答弁が退けたのは、「以前のように」「多くの経費をかける」委託です。NHK は2023年度末で、巡回型の訪問営業を廃止しています。今回の試行の費用と規模は、10月2日の資料の項目の外です。(資料06・07)
  3. NHK の答弁では、苦情は減り、長期の未収は増えています。苦情は「かつては一年間に四万件以上」から「現在は千件未満」に。比べた年は答弁にありません。長期の未収は「この五年間で約百万件増え」、2019年度の約2.5倍です。この5年は、2023年度末の廃止より前の年も含みます。NHK は増えた理由に、廃止と「コロナなど社会環境の変化」の両方を挙げています。10月2日の資料に、委託費と再発防止策の記載はありませんでした。(資料01・07・08)

根拠

やめた理由として、NHK が国会で挙げたこと

やめた後について NHK が答えた数字

項目数字出典
苦情かつては年4万件以上 → 現在は千件未満(比べた年・数え方は答弁に無い)資料07(2025年12月2日 #109)
受信料収入に対する営業経費の割合2021年度から10%を下回る水準資料07(#109)
経費の削減営業手法の転換で「この六年間で百九十億円規模の経費の削減」(6年の始まりと終わり、6年の合計か年の額の差かは答弁に無い)資料08(2026年3月12日 #145)
長期の未収「この五年間で約百万件増え」、2019年度の約2.5倍(廃止の前の年を含む。理由に廃止と「コロナなど社会環境の変化」を挙げる)資料08(#173)

戻すにあたって分かっていること

10月2日の資料の項目の外にある物

契約を取る訪問とは別に、続いていた訪問

未納の受信料を集める訪問は、試行の前から委託で続いていました。2025年6月は委託3社・8都府県の一部、2026年10月は委託6社・22都府県の一部です。(資料10)

資料

番号資料種類確かめた日
01NHK営業局「受信料の契約・収納業務の委託事業者の拡大について」2026年10月2日(PDF)
https://www.nhk-cs.jp/pid99/osk/000000/000087573.pdf
公式資料2026-10-22・2026-10-25(取り直して本文と表を照らした)
02国会会議録 参議院 総務委員会 2021年6月1日 #79・#80・#83・#84
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120414601X01420210601/84
会議録2026-10-21
03国会会議録 参議院 総務委員会 2022年3月29日 #177
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120814601X00620220329/177
会議録2026-10-21
04国会会議録 衆議院 総務委員会 2022年11月17日 #106・#107
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121004601X00320221117/107
会議録2026-10-21
05国会会議録 参議院 総務委員会 2023年3月30日 #178・#179
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121114601X00820230330/179
会議録2026-10-22
06国会会議録 衆議院 総務委員会 2024年3月21日 #162・#163
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121304601X01020240321/163
会議録2026-10-21
07国会会議録 参議院 総務委員会 2025年12月2日 #108・#109
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121914601X00320251202/109
会議録2026-10-22
08国会会議録 衆議院 総務委員会 2026年3月12日 #145・#173
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122104601X00420260312/173
会議録2026-10-22
09国会会議録 参議院 総務委員会 2026年7月14日 #38・#39
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122114601X01320260714/39
会議録2026-10-21
10NHK「受信料の収納業務について」2025年6月版・2026年10月版(PDF)
https://www.nhk-cs.jp/pid99/osk/000000/000081511.pdf
https://www.nhk-cs.jp/pid99/osk/000000/000087644.pdf
公式資料2026-10-21・2026-10-25(取り直して社数と都府県を数えた)
11NHK「2025年度(令和7年度)決算概要」2026年6月(PDF。営業経費は資料の15ページ〔PDF の17枚目〕、事業収支差金は5枚目)
https://www.nhk.or.jp/info/pr/kessan/assets/pdf/2025/gaiyou_r07_1.pdf
公式資料2026-10-21・2026-10-25(取り直して照らした)
12共同通信 2026年9月21日(秋田魁新報の配信)
https://www.sakigake.jp/news/article/20260921CO0075/
報道2026-10-21・2026-10-25
13政府答弁書 内閣参質200第86号 2019年12月13日(「八について」)
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/200/touh/t200086.htm
政府の文書2026-10-21・2026-10-25
14ScanNetSecurity 2019年11月11日
https://scan.netsecurity.ne.jp/article/2019/11/11/43205.html
報道2026-10-21・2026-10-25
15PHILE WEB 2020年12月9日
https://www.phileweb.com/news/d-av/202012/09/51734.html
報道2026-10-21・2026-10-25
16国会会議録検索システム
https://kokkai.ndl.go.jp/
会議録2026-10-25 13時9分に、発言の API で期間 2026-07-15〜2026-10-25 を指定して検索。「NHK 訪問」0件/「訪問営業」0件/「受信料」4件(7月15日 参院 本会議 #7、7月23日 参院 沖縄・北方問題及び地方に関する特別委員会、総務委員会連合審査会 #143・#144・#145)
17国会会議録 衆議院 総務委員会 2018年3月22日 #265(消費者庁の答弁)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/119604601X00520180322/265
会議録2026-10-25
18NHK「職員の給与等の支給の基準」(放送法第61条による公表。p.20 モデル給与〔2025年度〕)
https://www.nhk.or.jp/info/pr/kyuyo/assets/pdf/kijyun-syokuin.pdf
公式資料2026-10-25

国会のやりとり

字は国会会議録のとおりです。[中略]は会議録の字を省いた所です。

2021年6月1日 参議院 総務委員会(資料02)

柳ヶ瀬裕文(日本維新の会)質問 #83

この訪問によらない営業をやって結局収益は上がらなかったということがあったとしても、また訪問による営業に戻るということはないんだということでよろしいのかどうか。

前田晃伸 NHK会長 答弁 #84

従来型の訪問による営業という形には戻さないつもりでございます。

2022年11月17日 衆議院 総務委員会(資料04)

道下大樹(立憲民主党・無所属)質問 #106

この訪問によらない営業方法というのは、NHKの内部から提案があったものでしょうか。

前田晃伸 NHK会長 答弁 #107

訪問によらない営業に切り替えたのは、私が決めたことでございます。明らかに、今までの営業のやり方はかなり問題があったということでございます。

2024年3月21日 衆議院 総務委員会(資料06)

西岡秀子(国民民主党・無所属クラブ)質問 #162

この三年間の経営計画の中で受信料収入を確保することは大変厳しい状況にあるのではないかというふうに考えますけれども、このことについてのNHKの御見解をお伺いしたいと思います。

小池英夫 NHK専務理事 答弁 #163

委員御指摘のとおり、次期中期経営計画で掲げた受信料収入を確保することは容易なことではないと認識しております。ただ、以前のように外部の法人に訪問営業を委託して多くの経費をかけるということは、社会的に納得を得ることが難しいと考えております。

2025年12月2日 参議院 総務委員会(資料07)

原田大二郎(公明党)質問 #108

経営判断として訪問営業停止はプラスだったのかマイナスだったのか、NHKとしての評価をお聞かせください。

小池英夫 NHK専務理事 答弁 #109

[中略]かつては一年間に四万件以上発生していた苦情も、現在は千件未満になるなど減少しております。一方で、新規の契約数が減少しているという課題もあります。また、受信契約を結んでいるにもかかわらず、長期にわたって受信料をお支払いいただけていない未収の方も急増しております。

2026年7月14日 参議院 総務委員会(資料09)

木戸口英司(立憲民主・無所属)質問 #38

視聴者局の設置から四年余りで再び営業局へと名称を変更することは、NHKの受信料業務や視聴者対応の在り方に関する考え方の変化、あるいは総括をして変えざるを得なかったということなのか、[中略]

井上樹彦 NHK会長 答弁 #39

[中略]これまでどおり、視聴者の皆様との接点を大切にする姿勢は変わることはございません。デジタル、書面、対面、外部企業との連携など様々な施策を組み合わせて、視聴者の皆様にアプローチする取組を強化し、受信料収入の確保や支払率の維持向上に向けて最大限努力してまいりたいと考えております。

この答弁で、井上会長は委託の訪問を戻すことには触れていません。

会派の名前は、会議録の会派の欄のとおりです。

経過

日付出来事出典
2005年4月1日〜2019年12月13日(答弁書の日)委託先からの個人情報の漏えいが9事案(政府の答弁書。政府が NHK から聞いた件数)資料13
2019年10月23日元委託先の社長が窃盗の疑いで逮捕。契約者の情報が使われた疑い。NHK名古屋拠点放送局が11月8日に発表し、11月11日に報じられた資料14(報道)
2020年12月前田会長が会見で、営業のやり方を「抜本的」に見直すと述べた資料15(報道)
2021年6月1日前田会長「従来型の訪問による営業という形には戻さないつもり」資料02
2022年3月29日前田会長が、法人委託は2023年9月、地域スタッフの制度は2023年度末で終える予定と答弁資料03
2023年3月30日稲葉会長「訪問営業をやめる方針に全く変わりはございません」資料05
2023年度末巡回型の訪問営業を廃止(2025年12月2日の答弁による)資料07
2024年3月21日小池専務理事「社会的に納得を得ることが難しい」資料06
2026年3月12日小池専務理事が、長期の未収は5年で約100万件増えたと答弁資料08
2026年7月14日視聴者局を「営業局」に名前を戻した理由を、国会で問われる資料09
2026年9月〜10月委託の訪問による契約・収納を、5都府県の一部で試行資料01
2026年10月2日NHK営業局が委託先5社を発表資料01
この後国会で取り上げられたら、答弁をここに足します(2026年10月25日に会議録を検索した条件と結果は資料16)―

訂正の記録

なし

関連する解説動画

本編(15分50秒)
NHK、委託の戸別訪問を一部で再開 苦情は年4万件以上から千件未満に それでも戻す理由は【2026年10月】
https://youtu.be/SfNPIQy7lRk

本編の章:

ショート:

題と章の数字の出典:

切り抜き元は、衆議院・参議院のインターネット審議中継です。

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