辻元清美氏の2002年の参考人質疑 「三人が一人分の給与で三人分」の説明を、2004年の東京地裁判決は「虚偽内容の説明」と認定
テーマ:国会・議員|出来事:2002年4月25日(参考人質疑)〜2004年2月12日(東京地裁判決)|最終更新:2026年10月31日
国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。判決は、裁判所の裁判例検索に載っている判決の全文の字です。判決は被告人の名前を記号で伏せています(被告人A)。被告人Aが辻元氏であることは、報道と、本人の国会での発言で確かめました。札の ✓ は、参考人の説明と判決の認定を会議録と判決文で照らしたことを指します。読むときの注意は、ページの終わりに書きました。判決文のページは、裁判所の PDF のページです。
要点
- 2002年4月25日、辻元清美氏は衆議院予算委員会に参考人として出て、政策担当秘書の給与について説明しました。辻元氏は、給与は「政策チーム」の人件費に充てていて、「三人が一人分の給与で三人分の給与を賄っていた」と述べました。秘書からは、国会議員の経歴などについて「アドバイス」を受けていたとも述べました。辻元氏はこのとき、すでに議員を辞職していました(同年3月28日に辞職が認められたと判決文にあります)。(資料01・02)
- 2004年2月12日の東京地裁判決は、この参考人質疑での説明のうち、秘書2人の給与を3人の政策チームの人件費に充てていた、2人から国会議員についてアドバイスを受けていた、という説明を「虚偽内容の説明」と認めました。判決が「虚偽内容」と書いたのは、この2つを含む説明で、参考人質疑の発言の全部ではありません。判決は、参考人質疑の前の4月23日ころに弁護士や関係者と話し合い、説明の方針を伝えていたことも認定しています。3月20日の記者会見での説明も「虚偽内容の説明」と書いています。判決は詐欺罪で懲役2年・執行猶予5年でした。(資料02)
- 判決は、本人に酌むべき事情も書いています。詐取した額に年5パーセントの遅延損害金を付けた2,331万7,972円を衆議院に返したこと、逮捕の直後から事実関係を認めて反省の態度を示していること、などです。そのうえで、名義借りで元国会議員が実刑になった先例2例と比べ、本件は「余罪がなく,詐欺事件のみにとどまり」、「本件詐取金を個人的用途に使用する意図まではなかったと認められる」などの点で犯情に違いがあるとし、「その反省の態度を信じて特に今回に限り」刑の執行を猶予しました(判決文13〜14ページ)。(資料02)
- 詐取した金の使い道について、判決は二つの面を書いています。刑を重くする事情としては、事務所の経費などに使われ一部は貯蓄に回ったとして、「広く自己の政治資金として自由に使用していた」「詐取した金員の広範な使途ないし一部の蓄財」と書いています。一方で、詐取した金が辻元氏個人の口座に流れたことはなかったと認め、「政治活動とは全く無縁の私的流用と比べれば,その悪質さは幾分劣る」とも書いています(判決文6〜7・13ページ)。(資料02)
- 辻元氏は、参考人質疑の場で「全面否定してしまいました」と最初の会見を振り返り、2024年と2025年の国会でも、この件に触れています。2025年の「余罪がなく、個人的用途の意図はなく」という言葉は、判決文13〜14ページの字とおおむね対応します。ただし判決の字は「個人的用途に使用する意図まではなかった」と限った言い方で、同じ判決は、詐取した金を政治資金として広く使い一部は蓄財に回ったとも書いています(要点4)。(資料01・02・04・05)
根拠
参考人の説明と、判決の認定
| 項目 | 2002年4月25日の参考人質疑(会議録) | 2004年2月12日の判決(判決文) |
|---|---|---|
| 給与の使い道 | 「残りの給与は他の政策担当スタッフの人件費に直接充てておりました」(#15) | 参考人質疑で「政策チームの人件費に充てており,1人分の給与で3人分を賄っているつもりだった」などとする「虚偽内容の説明をした」 |
| 三人のチーム | 「この三人が一人分の給与で三人分の給与を賄っていたというのが現実なんです」(#15) | 同上 |
| アドバイス | 「相手の自民党の方の経歴とか、どういう議員でいらっしゃるのかとか[中略]アドバイスを受ける」(#45) | 「個々の国会議員がどのような人物なのかなどについてアドバイスを受けていたなどとする虚偽内容の説明をした」 |
| 説明の準備 | ― | 参考人質疑の前の「同月23日ころ」、弁護士や関係者を交えて話し合い、「説明する方針を伝えて」いた |
| 名義借り | 「当時、名義借りとか名義貸しとかいう名前も知りませんでした。そして、実態的には、[中略]三人のチームで実労がありましたので、そうは思っておりません」(#99) | 罪となるべき事実:「単に名義を借用するにすぎず,[中略]採用する意思も採用した事実もないのに,これらがあるように装い」 |
出典:左の列は資料01、右の列は資料02(判決文の「量刑の理由」と「罪となるべき事実」)。判決文の数字・記号は、判決文の全角の字を半角に直さずに引いた所があります。[中略]は、このページで字を省いた所です。
判決の主な数字(資料02)
- 主文:被告人Aを懲役2年。この裁判が確定した日から5年間、刑の執行を猶予する
- 詐取した額:2年余りの間に合計1,874万円余り(判決の「事案の概要」)。2人の名義に分けると、448万9,304円(9回)と1,425万1,222円(27回)。足すと1,874万526円で、判決の「1874万円余」と合います(足し算はこのページの計算)
- 衆議院に返した額:2,331万7,972円(詐取した額に年5パーセントの遅延損害金を付けた額)
詐取した金の使い道と、先例との違い(判決文)
判決は、お金の使い道について、刑を重くする方と、先例と違う方の両方を書いています。片方だけで判決の見方を言い表せないので、並べます。字は判決文のとおりです。
| 判決が書いたこと | 判決文の字 | ページ |
|---|---|---|
| 使い道の認定 | 「本件詐取金が被告人A個人の口座に流れたり,その使途について,被告人Aが具体的な指示を与えることはなかったことが認められる」 | 6 |
| 使い道の認定 | 「自らの国会議員としての政治資金として広く使用していたものと認められるのであり,政治活動とは全く無縁の私的流用と比べれば,その悪質さは幾分劣るとはいえ,秘書の給与という趣旨を大きく逸脱し,広く自己の政治資金として自由に使用していたことからすると,本件各犯行が悪質であることに変わりはない」 | 7 |
| 刑を重くする事情(まとめ) | 「詐取した金員の広範な使途ないし一部の蓄財」 | 13 |
| 先例との違い(酌むべき事情のあと) | 「元国会議員が実刑に処せられた先例も2例あるが,これらの先例と比較すると,本件は,余罪がなく,詐欺事件のみにとどまり,被告人Aには本件詐取金を個人的用途に使用する意図まではなかったと認められるなどの点において,その犯情には違いがあるということができる」 | 13〜14 |
| 結論 | 「被告人Aに対しては懲役2年に処した上,その反省の態度を信じて特に今回に限り,その刑の執行を猶予するのが相当である」 | 14 |
出典:資料02。
本人の言い分・その後の言葉
判決が「虚偽内容」とした説明について、本人がどう語ってきたかを、日付の順に並べます。
- 2002年4月25日(参考人質疑の中):最初の記者会見について「非常に恥ずかしいんですけれども、不快感があったり感情的になったということもありまして、全面否定してしまいました。それが結果的に、後で違う結果であったということがわかり」と述べ、辞職の理由を「自分の言っていたこととやっていたことが違っちゃいけないと思って」と説明しました(資料01 #55)。同じ日に、制度の面については「独自の方法で政策づくりをしてきた点が現行法から見ますと問題があったという御指摘については、きちっと自分で問題点であるというように認識をしています」とも述べています(#99)
- 判決が書いた背景:判決は、当時の辻元氏について、マスコミに「集中的かつ執ように追い回されて,平常心を保つことが相当に困難な状況に陥っていた」こと、疑惑の発覚に「何らかの政治的な意図があるのではないかとの疑念を抱かざるを得なかった」事情も「うかがわれる」と書いています。そのうえで「しかしながら,被告人Aは,国会議員という公職にあった者である」と続けています(資料02)
- 2024年3月4日 参議院予算委員会:「議員辞職しても参考人招致に応じろと私を引きずり出したのは自民党なんですよ」「私は参考人招致から逃げなかったから復帰できたと思っています」(資料04)
- 2024年8月 朝日新聞のインタビュー:自らの経験を「恥ずかしくて情けなくて、反省すべき体験」と述べた(資料06)
- 2025年12月5日 参議院本会議(永年在職議員表彰のあいさつ):「二十一年前、秘書給与問題で辞職し、裁判に臨んだことです。裁判長から、本件は余罪がなく、個人的用途の意図はなく、ほかの事案と違い、その反省の態度を信じて、刑の執行を猶予すると言い渡されました」(資料05)。判決文13〜14ページの「余罪がなく,詐欺事件のみにとどまり,被告人Aには本件詐取金を個人的用途に使用する意図まではなかったと認められる」「その反省の態度を信じて特に今回に限り,その刑の執行を猶予する」と、おおむね対応します(上の表)。ただし本人の言葉の「個人的用途の意図はなく」に対し、判決の字は「意図まではなかった」と限った言い方です。「二十一年前」は本人の言葉のままです(辞職は2002年で2025年の約23年前、判決は2004年で約21年前)
資料
| 番号 | 資料 | 種類 | 確かめた日 |
|---|---|---|---|
| 01 | 国会会議録 衆議院 予算委員会 第26号 2002年4月25日 #3・#15・#45・#55・#99(参考人 辻元清美) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/115405261X02620020425/15 | 会議録 | 2026-10-25(会議の API で全106発言を取得) |
| 02 | 東京地方裁判所 平成16年2月12日 判決(平成15年刑(わ)第2860号 詐欺被告事件)。裁判所 裁判例検索の全文 https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-5580.pdf | 判決文 | 2026-10-27(裁判所のサイトから PDF を取り直し、6〜7・12〜14ページを照らした) |
| 03 | 参議院 議員一覧(第221回国会) https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/221/giin.htm | 公式資料 | 2026-10-22(番組の確認記録) |
| 04 | 国会会議録 参議院 予算委員会 第3号 2024年3月4日 #52 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121315261X00320240304/52 | 会議録 | 2026-10-27(発言の API で取り直した) |
| 05 | 国会会議録 参議院 本会議 第8号 2025年12月5日 #6 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121915254X00820251205/6 | 会議録 | 2026-10-27(発言の API で取り直した) |
| 06 | 朝日新聞 2024年8月17日「「広瀬氏は説明を」 秘書給与詐欺で有罪となった辻元参院議員に聞く」 https://www.asahi.com/articles/ASS8J1FBVS8JUJUB006M.html | 報道 | 2026-10-25(無料で読める部分。「2003年7月に秘書給与詐取の容疑で警視庁に逮捕され、04年2月、東京地裁で懲役2年執行猶予5年の有罪判決を受けた」) |
| 07 | 日刊スポーツ 2024年7月30日(辻元氏の過去の事件に触れた記事) https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202407300000853.html | 報道 | 2026-10-25(「詐欺容疑で逮捕され、懲役2年、執行猶予5年の有罪判決を受けている。その後、政界に復帰した」) |
国会のやりとり
字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。会議録に出てくる秘書の方々の名前は省きました。
2002年4月25日 衆議院 予算委員会(資料01)
辻元清美 参考人 #3
まず、答弁に入ります前に、国民の皆様に、この場をおかりいたしまして、一言おわびを申し上げさせていただきたいと思います。
私の政策秘書問題に関しまして、国民の皆様には本当に御迷惑をおかけしました。本当に申しわけありませんでした。
辻元清美 参考人 #15
残りの給与は他の政策担当スタッフの人件費に直接充てておりました。
[中略]その際に、政策担当のスタッフをチームで働くというシステムを自分なりに考えました。[中略]要するに、そういう、当初のその給与はチームで、この三人が一人分の給与で三人分の給与を賄っていたというのが現実なんです。
辻元清美 参考人 #45
[中略]そのときに、相手の自民党の方の経歴とか、どういう議員でいらっしゃるのかとか、どういう方ならこういうことを御理解いただいてお話を聞いていただけるのかとか、そういうことをアドバイスを受ける。
ですから、政策立案の専門家は国会のことは全くわからないし、国会の経験をお持ちの方がすべての政策立案の問題を理解するわけでもないということで、三人のグループを組んでいたんです。[中略]
辻元清美 参考人 #55
私が辞職いたしましたのは、制度の問題だけではなく、やはり私がとった態度を反省しなければいけないと強く思いました。
それは、週刊誌の件で最初に記者会見をしまして、非常に恥ずかしいんですけれども、不快感があったり感情的になったということもありまして、全面否定してしまいました。それが結果的に、後で違う結果であったということがわかり、これはやはり信頼を損なった、自分がそういう態度をとったことはきっちりけじめをつけなければいけない。[中略]
辻元清美 参考人 #99
私は、当時、名義借りとか名義貸しとかいう名前も知りませんでした。そして、実態的には、先ほどから申し上げています三人のチームで実労がありましたので、そうは思っておりません。
しかし、先ほどから申し上げていますように、無手勝流といいますか、そういう独自の方法で政策づくりをしてきた点が現行法から見ますと問題があったという御指摘については、きちっと自分で問題点であるというように認識をしています。
判決文 量刑の理由(資料02)
被告人Aは,上記のような方針に基づき,同月25日開催の参考人質疑において,D及びGの政策担当秘書給与は,Dらを含めて3名で構成していた政策チームの人件費に充てており,1人分の給与で3人分を賄っているつもりだった,DやGからは,個々の国会議員がどのような人物なのかなどについてアドバイスを受けていたなどとする虚偽内容の説明をした。
2024年3月4日 参議院 予算委員会(資料04)
辻元清美(立憲民主・社民)#52
[中略]あのね、総理、私ね、二十二年前、秘書給与問題で議員辞職したんですよ。そのときですね、議員辞職しても参考人招致に応じろと私を引きずり出したのは自民党なんですよ。で、私は当時、土井たか子党首に、公の場で説明をしてけじめを自ら付けてやり直した方があなたの政治生命を守ることになると諭されて、震えながら出たんです。二年生のときでした。私は参考人招致から逃げなかったから復帰できたと思っています。[中略]
会派の名前は、会議録の会派の欄のとおりです。2002年4月25日の辻元氏は参考人なので、会派の欄はありません。
経過
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 1996年10月 | 辻元氏が衆議院議員に初当選 | 資料05 |
| 1996年11月〜1998年12月 | 判決が認定した詐取の期間(2人の名義で計36回の振込) | 資料02 |
| 2002年3月20日 | 週刊誌の発売に合わせて記者会見。判決は、この説明を「虚偽内容の説明」と認定 | 資料02 |
| 2002年3月26日 | 議員辞職願を提出。28日に辞職が認められる | 資料02 |
| 2002年4月25日 | 衆議院予算委員会に参考人として出る | 資料01 |
| 2003年7月18日 | 逮捕(判決文の「同年7月18日の逮捕直前の取調べ」)。報道は「2003年7月に[中略]警視庁に逮捕」 | 資料02・06 |
| 2004年2月12日 | 東京地裁判決。懲役2年・執行猶予5年 | 資料02 |
| 2024年3月4日 | 参議院予算委員会で、2002年の参考人質疑に触れる | 資料04 |
| 2025年12月5日 | 参議院本会議の永年在職議員表彰のあいさつで、判決に触れる | 資料05 |
訂正の記録
なし
関連する解説動画
本編(19分18秒)
簗前農水相の参考人招致を求めた辻元清美議員 自らが参考人として行った説明は 判決で「虚偽内容の説明」【2026年10月】
https://youtu.be/ieUnfP0iNYg
本編の章:
- 0:33 2026年10月16日 参考人と説明責任を求める
- 4:37 2002年3月11日 証人に「どうしてうそつくんですか」
- 5:05 9日後 自らの会見の説明は 判決で「虚偽内容」
- 6:03 2002年4月25日 参考人の説明も 判決で「虚偽内容」
- 8:45 2003年7月 詐欺の疑いで逮捕
- 9:11 2004年2月12日 懲役2年 執行猶予5年
- 13:54 その後 本人はどう語ったか
- 15:55 国会の外では
本編の題と章の言い方は番組の見せ方です。このページでは、そのうち6:03 の章(2002年4月25日の参考人の説明と判決)を、会議録と判決文で照らしました。
確かめた所と読むときの注意
確かめた所
- 参考人質疑の字は、国会会議録検索システムの API で、その日の会議の全部の発言を取って照らしました(2026年10月25日)
- 判決の字(主文・罪となるべき事実・量刑の理由)は、裁判所の裁判例検索に載っている判決の全文で照らしました。使い道と先例との違い・結論(6〜7・13〜14ページ)は、2026年10月27日に PDF を取り直して照らしました
- 2025年12月5日の本人の言葉(「余罪がなく、個人的用途の意図はなく」)は、判決文13〜14ページの字とおおむね対応することを確かめました(2026年10月27日)。判決の字は「個人的用途に使用する意図まではなかった」と限った言い方で、本人の言葉と字は同じではありません。2024年3月4日 #52 と2025年12月5日 #6 の字も、同じ日に会議録の API で取り直して照らしました
- 被告人Aが辻元氏であることは、朝日新聞(資料06)と日刊スポーツ(資料07)の報道、本人の2025年12月5日の発言(資料05)で確かめました
- 詐取した額の足し算(448万9,304円+1,425万1,222円=1,874万526円)は、このページで計算しました
読むときの注意
- 判決文の主文は「この裁判確定の日から」5年間の猶予と書いています
- 照らしたのは判決文の字です
- 2002年3月20日の記者会見で辻元氏が話した字は、判決文の要約によります
- 2003年7月の逮捕の日は、判決文の「同年7月18日の逮捕直前の取調べ」の字によります
