政務三役の適性評価 2つの法律の本文で、大臣・副大臣・大臣政務官などは「適性評価を受けることを要しない」 高市氏は2024年も2026年も「任命に当たり必要な考慮」を理由に挙げた
テーマ:経済安全保障・情報保全|出来事:2024年3月27日(衆院内閣委の答弁)〜2026年4月2日(衆院本会議の答弁)|最終更新:2026年10月31日

法律の字は、e-Gov の法令 API で取った本文です。国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。
要点
- 重要経済安保情報保護活用法と特定秘密保護法は、どちらも第11条で、適性評価を受けなくてよい人を並べています。行政機関の長・国務大臣・内閣官房副長官・内閣総理大臣補佐官・副大臣・大臣政務官と、政令で定める人です。重要経済安保情報保護活用法は2024年5月17日に公布され、本体の版は2025年5月16日に施行されました。(資料01・02)
- 2024年3月27日、法案の審議で、前原誠司議員は政務三役を例外にした理由を問いました。高市担当大臣(当時)は、政務三役は「内閣総理大臣によって任命に当たり必要な考慮がなされる」ので対象外にしたと答え、特定秘密保護法も同じ扱いであること、イギリス・フランス・ドイツなどでも閣僚は対象外であること、漏らせば「最大五年の拘禁刑などの罰則の対象」になることを挙げました。(資料03)
- 2026年4月2日、高市総理は、同じ趣旨の理由を答えました。国家情報会議設置法案の本会議で、吉川里奈議員が、政務三役が適性評価の対象から外れているのは「制度上の空白」だと問いました。総理は「総理大臣としてその任命を行うに当たり、情報保全に関し必要な考慮がなされる」と答え、英国・フランス・ドイツの例と、漏らした場合の罰則(特定秘密は十年以下、重要経済安保情報は五年以下の拘禁刑など)を挙げました。(資料04)
根拠
条文の検算(e-Gov の本文)
| 重要経済安保情報保護活用法 | 特定秘密保護法 | |
|---|---|---|
| 法律の番号 | 令和6年法律第27号(2024年5月17日公布) | 平成25年法律第108号(2013年12月13日公布) |
| 適性評価を受けなくてよい人(第11条のただし書き) | 一 行政機関の長/二 国務大臣/三 内閣官房副長官/四 内閣総理大臣補佐官/五 副大臣/六 大臣政務官/七 政令で定める者 | 一 行政機関の長/二 国務大臣/三 内閣官房副長官/四 内閣総理大臣補佐官/五 副大臣/六 大臣政務官/七 政令で定める者 |
| 漏らしたときの罰(第23条第1項) | 取扱いの業務に従事する者が業務で知った情報を漏らしたときは、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金、又は併科 | 取扱いの業務に従事する者が業務で知った特定秘密を漏らしたときは、十年以下の拘禁刑、又は情状により十年以下の拘禁刑及び千万円以下の罰金 |
出典:資料01・02(2026年7月17日施行の版の本文)。重要経済安保情報保護活用法の施行の日は、e-Gov の版の一覧で確かめました。本体の版の施行は2025年5月16日です。
比べ方の注意
- 「政務三役」は、答弁や質問の言葉です(大臣・副大臣・大臣政務官を指す呼び方)。法律の一覧には、このほかに内閣官房副長官と内閣総理大臣補佐官も入っています
- 第11条は「適性評価を受けることを要しない」と書いています。漏らしたときの罰(第23条)が誰に当たるかは、条文では「取扱いの業務に従事する者」です。政務三役に罰が当たるという点は、高市氏の答弁の説明として示しています
- 2024年の答弁は「最大五年の拘禁刑など」で、法律の本文は「五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金」です。答弁は重要経済安保情報についての説明です
- イギリス・フランス・ドイツで閣僚が対象外という点は、答弁の説明です(2026年の答弁は「把握している限りで」と断っています)
資料
資料の一覧(5件)
| 番号 | 資料 | 種類 | 確かめた日 |
|---|---|---|---|
| 01 | 重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律(令和6年法律第27号)(e-Gov 法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/506AC0000000027 | 法令 | 2026-10-25(法令 API で本文を取り、第11条・第12条・第23条と附則を読んだ。版の一覧で施行の日を確かめた) |
| 02 | 特定秘密の保護に関する法律(平成25年法律第108号)(e-Gov 法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/425AC0000000108 | 法令 | 2026-10-25(法令 API で本文を取り、第11条・第23条を読んだ) |
| 03 | 国会会議録 衆議院 内閣委員会 2024年3月27日 #172・#173(前原誠司議員の質問と高市大臣の答弁) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121304889X00520240327/173 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 04 | 国会会議録 衆議院 本会議 2026年4月2日 #20・#21(吉川里奈議員の質問と高市総理の答弁) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105254X01020260402/21 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 05 | 国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/ | 会議録 | 2026-10-25 に、発言の API で発言者「高市早苗」・語「適性評価」・期間 2025-10-01〜 を検索して2件(2026年4月2日の衆院本会議・2026年5月8日の参院本会議)。5月8日の答弁は国家情報局の職員の適性評価の話で、政務三役には触れていない |
国会のやりとり
字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。
2024年3月27日 衆議院 内閣委員会(重要経済安保情報保護活用法案の審議)(資料03)
前原誠司(日本維新の会・教育無償化を実現する会)質問 #172
[中略]高市大臣も聞かれたことがあるかもしれませんけれども、アメリカのそういった有識者の間では、一番口が軽くてしゃべるのは政治家だと言われているんですね。つまりは、我々が話を聞いてきて、そしてそれをぺらぺらぺらぺらしゃべるということの中で、政治家が一番情報漏えいを行う可能性が高いんだというようなことを、これはかなり昔から言われ続けているというふうに私は思いますが、政務三役について適性評価の例外扱いにした理由についてお答えをいただきたいというふうに思います。
高市早苗 内閣府特命担当大臣(経済安全保障など・当時)答弁 #173
そこは様々御議論があることは承知をいたしております。
ただ、政務三役については、これは内閣総理大臣によって任命に当たり必要な考慮がなされるということから適性評価の対象外としております。この点については、この法律案よりも機微度が高い情報を対象としている特定秘密保護法でも同様の取扱いをしているということを踏まえました。
それから、先ほど政府参考人から別の委員に対して答弁がありましたけれども、例えばイギリス、フランス、ドイツなどは、閣僚は適性評価の対象外となっている。国によって様々であるということ。それから、適性評価を免除されたとしても、漏えいした場合には、適性評価を受けた職員と同じく、最大五年の拘禁刑などの罰則の対象になるということ。
以上でございます。
2026年4月2日 衆議院 本会議(国家情報会議設置法案)(資料04)
吉川里奈(参政党)質問 #20
[中略]本法案により閣僚級の会議体として国家情報会議が設置されることで、政務三役がこれまで以上に重要な秘密に接する機会が増すこととなります。にもかかわらず、現行制度において政務三役が適性評価の対象から除外されることは、制度上の空白であり、看過できない課題であると考えます。
このような状況の中、我が国が国際社会において責任ある国家としての地位を維持し、世界と肩を並べていくためには、国家の意思決定に関与する者に対する適性評価についても、国際的水準を踏まえた制度として整備する必要があるのではないでしょうか。
また、国家機密の漏えい等が発生した場合には、任命権者としての責任を含め、厳格な対応が求められるべきであると思いますが、総理の御認識を伺います。[中略]
高市早苗 内閣総理大臣 答弁 #21
[中略]政務三役の適性評価についてお尋ねがありました。
政務三役については、総理大臣としてその任命を行うに当たり、情報保全に関し必要な考慮がなされることから、特定秘密保護法や重要経済安保情報保護活用法の適性評価の対象とはなっておりません。
こうした取扱いは我が国に限ったものではなく、把握している限りで、例えば英国、フランス、ドイツにおいても、閣僚はセキュリティークリアランスの対象から除かれております。
その上で、仮に政務三役が特定秘密や重要経済安保情報を漏えいした場合には、それぞれ、十年以下の拘禁刑や五年以下の拘禁刑などの罰則の対象として刑事責任を問われることになります。[中略]
会派の名前は、会議録の会派の欄のとおりです。吉川議員は「任命権者としての責任」も問いました。総理の答弁 #21 と、続く木原官房長官の答弁 #22 の本文に、「任命権者」の語はありません。#21 の最後は「残余の質問については、関係大臣から答弁させます」です。
経過
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2013年12月13日 | 特定秘密保護法を公布(第11条で大臣などは適性評価を要しない) | 資料02 |
| 2024年3月27日 | 衆院内閣委で、前原議員が政務三役を例外にした理由を問い、高市大臣が答弁 | 資料03 |
| 2024年5月17日 | 重要経済安保情報保護活用法を公布 | 資料01 |
| 2025年5月16日 | 同法の本体の版を施行(e-Gov の版の一覧) | 資料01 |
| 2026年4月2日 | 衆院本会議で、吉川議員が「制度上の空白」と問い、高市総理が答弁 | 資料04 |
訂正の記録
なし
関連する解説動画
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この論点を扱う回は、ロング011「高市早苗氏 大臣時代の国会答弁と、いま」。2026年10月25日の時点では、まだ構成の段階にあります。動画ができたら、ここに載せます。
確かめた所と読むときの注意
確かめた所
- 2つの法律の第11条(適性評価を要しない人)と第23条(漏らしたときの罰)は、e-Gov の法令 API で取った本文で読みました(2026年10月25日)
- 重要経済安保情報保護活用法の公布の日と、本体の版の施行の日は、e-Gov の法令の情報と版の一覧で確かめました
- 国会の字は、すべて国会会議録検索システムの API で取った本文と照らしました(2026年10月25日)。会派の名前と肩書も会議録の欄のとおりです
読むときの注意
- 政務三役が漏らした場合に第23条が当たるかどうかは、答弁の説明として示しました
