憲法に「10日以内に解散か総辞職」と書かれているのは衆議院の不信任決議だけ 参議院の問責決議は、憲法にも国会法にも字が無い
テーマ:国会・しくみ|出来事:2008年6月11日(参院の問責決議)・6月12日(衆院の信任決議)|最終更新:2026年10月31日

国会の発言と票は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。憲法と国会法は e-Gov 法令検索の本文です。足し算は、このページでしました。
要点
- 日本国憲法 第69条が定めているのは、衆議院の不信任決議(と信任決議の否決)です。内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決するか、信任の決議案を否決したときは、「十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」と書かれています。(資料01)
- 「問責」の字は、憲法にも国会法にもありません。e-Gov の本文を検索して、どちらも0件でした。国会の議論でも、参議院の問責決議には法的な拘束力が無い、という説明が繰り返されています。2008年6月11日の参院本会議では、問責決議案に反対した議員も「そもそも問責決議には法的拘束力はなく」と述べました。(資料01・02・04)
- 2008年6月、参議院は福田総理への問責決議を可決し、衆議院は翌日、福田内閣の信任決議を可決しました。参院の問責決議は投票総数236・賛成131・反対105。衆院の信任決議は投票総数346・賛成336・反対10です。問責決議を出した側は、趣旨説明で「我々が求めるのは解散・総選挙であります」と述べていました。(資料03・04・05)
根拠
2つの決議の違い(憲法と国会法の本文)
| 衆議院の内閣不信任決議 | 参議院の問責決議 | |
|---|---|---|
| 憲法の字 | 第69条にある | 無い(「問責」で検索して0件) |
| 国会法の字 | (国会法は不信任決議の効果を定めていない) | 無い(「問責」で検索して0件) |
| 可決されたとき | 10日以内に衆議院が解散されない限り、内閣は総辞職 | 憲法・法律に定めは無い |
| 誰に向けるか | 内閣 | 2008年の例は内閣総理大臣。大臣1人に向けた例もある(資料06) |
出典:資料01・02。「無い」は、e-Gov から取った本文に「問責」の字が0件だったことによります。
票の検算(2008年6月の2つの採決)
| 日付 | 院 | 案 | 投票総数 | 賛成 | 反対 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2008年6月11日 | 参議院 本会議 | 内閣総理大臣福田康夫君問責決議案 | 236 | 131(白色票) | 105(青色票) | 可決 |
| 2008年6月12日 | 衆議院 本会議 | 福田内閣信任決議案 | 346 | 336(白票) | 10(青票) | 可決 |
出典:資料04 #116・資料05 #14・#15。131+105=236、336+10=346。どちらも投票総数と合います(このページの計算)。
比べ方の注意
- 信任決議の可決は、憲法 第69条の「信任の決議案を否決したとき」には当たりません。この例では、問責決議の翌日に、衆議院が内閣を信任する決議を可決した、という順です
- 問責決議の後に何が起きるか(審議に出ない・大臣が辞めるなど)は、決まりではなく、そのときの政治の判断です。
資料
資料の一覧(6件)
| 番号 | 資料 | 種類 | 確かめた日 |
|---|---|---|---|
| 01 | 日本国憲法 第66条・第69条(e-Gov 法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/321CONSTITUTION | 法令 | 2026-10-25(法令 API で本文を取得。「問責」0件) |
| 02 | 国会法(e-Gov 法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC1000000079 | 法令 | 2026-10-25(法令 API で本文を取得。「問責」0件) |
| 03 | 国会会議録 参議院 本会議 2008年6月11日 #75〜#77(問責決議案の議題と趣旨説明) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/116915254X02620080611/77 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 04 | 国会会議録 参議院 本会議 2008年6月11日 #111(山口那津男議員の反対討論)・#116(投票の結果) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/116915254X02620080611/116 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 05 | 国会会議録 衆議院 本会議 2008年6月12日 #14・#15(福田内閣信任決議案の投票の結果) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/116905254X03920080612/15 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 06 | 国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/ | 会議録 | 2026-10-25 に、発言の API で語「問責決議 法的拘束力」(本文・期間の指定なし)を検索して11件。うち2010年11月26日 参院本会議 #94 は「国務大臣仙谷由人君問責決議案」への賛成討論 |
国会のやりとり
字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。
2008年6月11日 参議院 本会議(資料03・04)
輿石東(民主党・新緑風会・国民新・日本)問責決議案の趣旨説明 #77
[中略]本院は、内閣総理大臣福田康夫君を問責する。
[中略]したがって、この問責決議案は、直接的には総理に辞職を求めるものでありますが、むしろ我々が求めるのは解散・総選挙であります。
山口那津男(公明党)反対討論 #111
[中略]そもそも問責決議には法的拘束力はなく、たとえ本院で可決されたとしても、福田内閣が総辞職するいわれは全くないのであります。[中略]
江田五月 議長 #116
投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十六票
白色票 百三十一票
青色票 百五票
よって、本決議案は可決されました。
2008年6月12日 衆議院 本会議(資料05)
河野洋平 議長 #14・#15
投票総数 三百四十六
可とする者(白票) 三百三十六
否とする者(青票) 十
[中略]右の結果、福田内閣信任決議案は可決されました。
会派の名前は、会議録の会派の欄のとおりです。
経過
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2008年6月11日 | 参議院本会議で、福田総理への問責決議案を可決(賛成131・反対105) | 資料03・04 |
| 2008年6月12日 | 衆議院本会議で、福田内閣信任決議案を可決(賛成336・反対10) | 資料05 |
訂正の記録
なし
関連する解説動画
ショート(57秒)
簗農水相 辞任 問責決議に法的拘束力はない? 不信任決議との違い 政治記者が解説
https://youtu.be/KgXtD4vJVps
動画は、選挙ドットコムちゃんねるの対談(2026年10月14日公開)を切り抜いたものです。問責決議の後の国会の動き(大臣の答弁を聞かない、など)は話し手の見方として、このページの根拠と分けて扱います。動画の札は「問責決議は憲法・法律に定めが無い」「不信任は10日以内に解散か総辞職」と書いています。このページでは、その2つを憲法と国会法の本文と会議録で確かめました。
確かめた所と読むときの注意
確かめた所
- 憲法 第69条の字と、憲法・国会法に「問責」の字が無いことは、e-Gov の法令 API で取った本文で確かめました(2026年10月25日)
- 2008年6月11日・12日の票は、国会会議録検索システムの API で取った本文と照らしました(2026年10月25日)
