個人情報保護法の改正 統計作成等の目的なら、公表などを条件に本人の同意なしで提供できる特例 違法な取扱いで得た利益には課徴金

テーマ:国会・デジタル|出来事:2026年4月7日(法律案の提出)〜2026年5月26日(衆議院で可決)〜2026年7月10日(参議院で可決・成立)〜2026年7月17日(公布)|最終更新:2026年10月31日

統計作成等なら 公表などを条件に同意なしで提供できる特例|2年以内 公布(2026年7月)から施行までの期限

法律の中身は、衆議院のページに載っている法律案の本文の字です。国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。会派の賛否は、衆議院の議案のページと、参議院の本会議の投票結果のページの記録のとおりです。

要点

  1. 統計作成等の目的なら、決まった事項の公表などを条件に、本人の同意なしで個人情報を第三者に提供できる特例を設けました(第30条の2など)。要配慮個人情報(病歴・犯罪の経歴など)も対象になり得ます。デジタル大臣は、この特例で「公開されていない要配慮個人情報を含む個人データ等の第三者提供が可能になります」と答えました。(資料01・資料06 #27)
  2. 個人情報の違法な取扱いなどで金銭などを得た事業者に、個人情報保護委員会が課徴金の納付を命じる制度を新設しました。額は、得た金銭などに相当する額として政令で定める方法で計算した額です。(資料01)
  3. 16歳未満の人の個人情報は、同意などを本人でなく法定代理人(親など)に求める読み替えの規定を置きました。身体の一部の特徴の情報で、取られていることに本人が気づきにくいものとして政令で定めるもの(特定生体個人情報)は、違法な取扱いが無くても、本人が利用停止などを請求できます。(資料01・資料04 #3)
  4. 衆議院は2026年5月26日に起立多数、参議院は7月10日に押しボタンの投票で賛成146・反対94で可決し、成立しました。衆議院の反対会派の欄は、中道改革連合・無所属、参政党、日本共産党です。参議院では、立憲民主・無所属と公明党なども反対しました。(資料02・03・資料07 #17)

根拠

法律の中身(法律案の本文)

条(改正後の個人情報保護法)中身出典
第2条第13項(新設)「統計作成等」は、統計の作成など、大量の情報を解析して傾向や性質の情報(個人に関する情報を除く)を作る行為のうち、個人の権利利益を害するおそれが少ないとして委員会規則で定めるもの資料01
第30条の2・第31条の3(新設)統計作成等の目的で、公表などの条件を満たすとき、本人の同意なしに要配慮個人情報の取得や個人データの提供ができる特例。提供を受けた側の取扱いの制限も定める資料01
第21条の2(新設)特定生体個人情報を扱うときは、利用目的や、どの身体の特徴の情報かなどを、あらかじめ本人に通知するか、容易に知り得る状態に置く資料01
第35条第7項(新設)本人は、自分の特定生体個人情報の利用停止や第三者への提供の停止を請求できる(本人の同意を得て作った場合などを除く)資料01
第35条第9項・第40条の2(新設)16歳未満の本人は、利用停止などを請求できる。16歳未満の人の個人情報の同意や通知は、法定代理人に対して行うよう読み替える資料01
第148条の3〜第148条の7(新設)違法な第三者提供などで金銭などを得たとき、委員会は、得た金銭などに相当する額として政令で定める方法で計算した額の課徴金の納付を命じる。過去に命令を受けた者は加算、自ら報告した者は減額資料01
附則第1条公布の日から2年を超えない範囲で政令で定める日から施行(一部は別の日)資料01

法律案の理由の欄の書き出しは、「個人情報の有用性に配慮しつつ、その一層の保護を図るため」です(資料01)。

統計作成等の特例について、政府の説明と反対の理由

会派の賛否(記録にある粒度のまま)

衆議院 本会議 2026年5月26日(起立による採決・起立多数)(資料02・資料05 #10・#11)

賛成会派(記録の字)反対会派(記録の字)
自由民主党・無所属の会; 日本維新の会; 国民民主党・無所属クラブ; チームみらい中道改革連合・無所属; 参政党; 日本共産党

衆議院では、デジタル行政推進法などの改正案(閣法53)と一括で審議しました。採決は別々です(資料05 #2・#9〜#11)。

参議院 本会議 2026年7月10日(押しボタンの投票。投票総数240・賛成146・反対94)(資料03)

会派(人数)賛成反対
自由民主党・無所属の会(101)970
立憲民主・無所属(40)039
国民民主党・新緑風会(25)240
公明党(21)021
日本維新の会(19)190
参政党(15)015
日本共産党(7)07
れいわ新選組(5)05
日本保守党(2)11
沖縄の風(2)02
チームみらい・無所属の会(2)20
社会民主党(2)02
各派に属しない議員(6)32

賛成と反対の合計が会派の人数より少ないのは、投票しなかった議員の分です。賛成の合計146・反対の合計94は、議長の報告(資料07 #17)と一致します(このページの足し算)。

参議院の特別委員会では、立憲民主・無所属と公明党と沖縄の風が修正案を出し、否決されました。統計作成等の特例の提供の対象から要配慮個人情報を除くなどの案です(資料07 #4)。

資料

資料の一覧(7件)
番号資料種類確かめた日
01衆議院「閣法 第221回国会 54 個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」提出時法律案
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g22109054.htm
公式資料2026-10-25(第2条第13項・第21条の2・第30条の2・第35条・第40条の2・第148条の3〜第148条の7・附則第1条・理由を読んだ)
02衆議院 同法律案の議案審議経過情報
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DE26F2.htm
公式資料2026-10-25(受理 4月7日・付託 4月21日 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・審査終了 5月21日 可決・本会議 5月26日 可決・参議院 7月10日 可決・公布 7月17日 法律第56号)
03参議院 同法律案の審議経過と本会議の投票結果
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221080221054.htm
https://www.sangiin.go.jp/japanese/touhyoulist/221/221-0710-v002.htm
公式資料2026-10-25
04国会会議録 衆議院 本会議 2026年4月21日 #3(松本デジタル大臣の趣旨説明)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105254X01420260421/3
会議録2026-10-25
05国会会議録 衆議院 本会議 2026年5月26日 #3(特別委員長の報告)・#5(犬飼明佳議員の反対の討論)・#7(谷浩一郎議員の反対の討論)・#9〜#11(採決)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105254X02020260526/5
会議録2026-10-25
06国会会議録 参議院 本会議 2026年6月12日 #27(松本デジタル大臣の答弁)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115254X02120260612/27
会議録2026-10-25
07国会会議録 参議院 本会議 2026年7月10日 #4(特別委員長の報告)・#6(岸真紀子議員の討論)・#8(司隆史議員の討論)・#10(安達悠司議員の討論)・#15〜#17(採決)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115254X02720260710/17
会議録2026-10-25

国会のやりとり

字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。

2026年4月21日 衆議院 本会議(趣旨説明)(資料04)

松本尚 デジタル大臣 #3

[中略]第一に、適正なデータ利活用を促進するため、統計等の作成を行う第三者に個人情報を提供する場合等について、統計等の作成の内容等の公表等をしているときは、本人の同意を不要とすることとしております。
第二に、個人情報等の取扱いの態様とともに変化している個人の権利利益が侵害されるリスクに対応する観点から、十六歳未満の者の個人情報等を取り扱う場合における本人の法定代理人への通知等についての規定を整備することとしております。[中略]
第四に、個人情報の取扱いに係る規律遵守の実効性を確保するため、個人情報の違法な取扱い等によって財産上の利益を得た個人情報取扱事業者に対して個人情報保護委員会が課徴金納付を命ずる制度についての規定を整備することとしております。[中略]

2026年5月26日 衆議院 本会議(反対の討論)(資料05)

犬飼明佳 議員(中道改革連合・無所属)#5

[中略]反対の最大の理由は、統計作成等の目的であれば、要配慮個人情報が本人の同意なく取得や第三者への提供ができてしまう点です。[中略]

2026年6月12日 参議院 本会議(質疑への答弁)(資料06)

松本尚 デジタル大臣 #27

[中略]本特例においては、個人情報の保護と利活用の両立を図る観点から、統計作成等を行う事業者に各種の義務を課すことを前提に、事前の認定制度は採用せず、事業者の義務違反やそのおそれが生じた場合に、国が適切に介入することによって個人の権利利益を適切に保護する事後規制の制度枠組みを採用することが適切と考えております。[中略]
本法案における統計作成等の特例に依拠すれば、公開されていない要配慮個人情報を含む個人データ等の第三者提供が可能になりますが、本特例においては、個人の権利利益を保護する観点から必要な措置が適切に講じられているものと考えております。[中略]

2026年7月10日 参議院 本会議(討論)(資料07)

司隆史 議員(公明党)#8

[中略]今般の個人情報保護法改正案には看過できない問題があるということがこれまでの国会審議の中で明らかとなりました。それが、統計作成等の特例に基づく個人データの第三者提供によって、民間企業、行政機関、個人事業主の全てが本人の同意なしに氏名や病歴等を含む要配慮個人情報の取得が可能となるということです。[中略]

参議院の本会議では、ほかに立憲民主・無所属の岸真紀子議員と参政党の安達悠司議員が討論をしました(資料07 #6・#10)。

会派の名前は、会議録の会派の欄のとおりです。

経過

日付出来事出典
2026年4月7日内閣が衆議院に提出(受理)資料02
2026年4月21日衆議院 本会議で趣旨説明と質疑。特別委員会に付託資料02・04
2026年5月8日〜5月21日衆議院 特別委員会で趣旨説明・質疑(5月14日は参考人)資料05 #3
2026年5月21日衆議院 特別委員会で可決(多数・附帯決議あり)資料05 #3
2026年5月26日衆議院 本会議で可決(起立多数)資料05
2026年6月12日参議院 本会議で趣旨説明と質疑。特別委員会に付託資料03・06
2026年7月8日参議院 特別委員会で、立憲・公明・沖縄の風の修正案を否決、原案を可決(多数・附帯決議あり)資料07 #4
2026年7月10日参議院 本会議で可決(賛成146・反対94)。成立資料03・07
2026年7月17日公布(法律第56号)資料02
この後公布から2年以内の政令で定める日に施行資料01

訂正の記録

なし

確かめた所と読むときの注意

確かめた所

読むときの注意

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